私と呼吸法（３）

【東日本大震災に見舞われ】 　2011年3月11日、 私たち日本人は東日本大震災に見舞われました。 　甚大な被害に心を痛める一方で、 計画停電やそれにともなう交通機関の混乱、 物流がマヒしたことなどで、 いつも当たり前にあった日常が崩されました。 　実質的には被害の少なかった首都圏でさえ、 物資不足への警戒から水やコメ、電池などの買い占めが起こり、 多くの人が恐怖と不安にかられて 奔走しているように見受けられました。 　私も本音は不安と緊張でいっぱいでしたが、 子供たちに不安を与えまいと、 平静を装っていました。 　この時、ひたすら意識していたのが 「呼吸」だったのです。 　被災地での避難生活が長くなり、体調を崩したり 精神的に辛い毎日を送っている方たちに向けて 「深呼吸をすること」を推奨する医師の文章を目にしました。 深呼吸をするだけでも、気持ちが楽になり、体調が改善すると。 このような経緯から、震災後、 呼吸トレーニングを多くの人に伝えられたら、との思いが、 より強くなりました。 【文明社会への警鐘】 　私たちは今、文明社会に生き、 どんどん野生の力を失っていっています。 　遠くへいくのに何日もかけて 歩いて移動していた昔の人間と比べたら、現代では、 少しの距離でも車や電車で移動します。 　重いものを持たなくても、玄関まで届けてくれる。 高いところへ上がるのにも、エレベーターのボタンをポンと押すだけ。 　日常的に大声を出さなくても良くなり、 隣の部屋にいてもメールでやりとりする時代になりました。 　結果、生きるための「筋力」がどんどん衰えて行っていることに、 どれだけの人間が気づいているでしょう？ 　人間として生きるエネルギーを失えば、 精神的にも脆くなっていきます。 現代では些細なことで傷ついたり、落ちこんで、 死にたくなる人があまりにも多いのですが、 それも当然の成り行きかもしれません。 　日常生活の中で 「呼吸」が止まっていたり、浅くなっていると、 意味もなくイライラしたり、 ネガティブな思考に陥りやすくなります。 「今日は何か、落ち込む」 「やめようと思ってもイライラが止まらない」 そういうとき、実は「ディープブレス＝深呼吸」をすることだけで、 パーッと気持ちが明るくなって、 自然と笑顔が生まれたりするものです。 　深呼吸をするのに、お金も道具も、 場所も必要はありません。 体があれば、いつでもどこでも、 すぐに深呼吸をすることができます。 要は、そこに意識を置くか、どうかだけです。 ぜひ、ディープブレスコントロールを、 一定の期間、学んでごらんになってください。 あなた様の呼吸に対する意識が全く変わるはずです。