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私と呼吸法(2)

【呼吸訓練法との出会い】

 ふと思い立って、大学時代の声楽家の友人に 悩みを相談してみたところ、 夏休みに呼吸トレーニングのセミナー合宿があるから、 一緒に参加してみない?と勧められました。  学生のお財布にはだいぶ痛いお値段のセミナー合宿でしたが、 わらをもすがる思いですから、一も二もなく参加。 そこで出会ったのが、このディープ・ブレス・トレーニングの礎となる 発声のための「呼吸訓練法」でした。  合宿には、声楽家を志す人たちや、舞台俳優を目指す人など、 100人近い参加があり、道場のような広いところで、一日中、 みんな熱心に、トレーニングに励んでいました。  このトレーニングは、やってみないと分からない、 体が理解するまでは頭で理解していても分からない、 そういう性質のものなので、 最初はわけが分からず、ついていくのがやっと。  しかし他に手だてがなかった私は、 合宿が終わってからも、ひたすらトレーニングを続けました。 また論文を執筆するため、他にも発声に関する本を読んだり、 声楽家の体操の授業に参加したりしました。  半年後、ようやくこのトレーニングの成果を 少しずつ発揮できるようになってきました。 自分でも驚くほどそれまでとは違ってきていました。 この頃やっと、国際コンクールの日本人予選を通過するという、 私としては大きな結果を出すことができたのです。 【ディープブレスで人生が変わった】  呼吸のことが分かるようになるにつれ、 色々なことがリンクして理解されるようになってきました。 それまで見えなかった、天才たちと そうでない私との違いが、見えるようになってきたのです。 「あの人はどうしてあんなに自信たっぷりなのだろう?」 「あの人はなぜあんなにラクラクとできるのだろう?」 このような謎の理由はすべて、筋肉の違いにあったのです。  芸大で出会った天才の仲間にインタビューしてみると、 その多くが小さいころに選手なみにスポーツをしていたか、 現在も水泳などで体作りをしている人がほとんどであることが分かりました。 足腰を鍛えてきた人は、呼吸に必要な筋肉がしっかりしているのです。  それからというもの、フルートの生徒さんはもちろん、 身の回りにいる人の「呼吸に関する筋肉」に注目するようになりました。 テレビに出てくる漁師のおっさんや畑仕事のおばちゃんは、声がでかい(笑) 日々足腰を鍛えている人は全然体が違う、というのが、分かるようになりました。 そういう人に憧れと尊敬のまなざしを送るようになったのです。 【指導者として】  逆に、大学生の指導をするときなど、 身体がボロボロなのが、分かるようになってきました。 彼らの多くはデスクワーク漬けなので、 若いのに姿勢が悪く、筋肉が凝り固まって衰え、 ストレスや不摂生から胃腸もよくなかったりするのです。 このような体の状態から 思い切り自己表現をしようというのは無理な話です。 表現のためには、体全体がゴムまりのように柔軟で、 弾力に富み、生き生きとしていることが理想です。 【生活の中の”呼吸”】  話は変わって、私には二人の子供がいます。 34歳の時に一人目の出産をしましたが、初めての経験で、 心身ともに大変緊張していたように思います。  産後はお世話だけでも忙しい上に、 腱鞘炎やら何やらで、フルートどころではありません。 育児に専念しようと心に決めていても、 最前線の仕事に復帰するまでに、 どのくらいの時間と労力が必要なのか、 とても不安でした。  以前のように練習に時間を割くことができない中、 何とかコンディションを保つことができたのは、 とりもなおさず「ディープブレスコントロール」を勉強した賜物でした。  だんだんと、時間をかけずに 最善の状態に持っていく技術が 身についていきました。 今では、30分あれば 一番良い状態を取り戻すことができます。  育児中「時間がない」という悩みのある方は 私だけではないはずです。  どうにか子供をごまかしながら、 時間を確保しようとするお母さんたちを たくさんみてきました。 ですが、いくら時間を確保しても、 それだけで満足なコンディションを得られるとは限りません。  特にお母さんたちは、 子供を泣かせたり、託児にお金をかけたり、 大きな犠牲を払っているからこそ、必死なのに、です。

その3につづく。

子供たちが5歳と2歳の頃、「息」をつく間もないほどの2人育児生活
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